食物繊維でストレスが減る?

脳と腸
2019.04.15

脳腸相関、聞いたことありますか?

脳と腸はとても仲がよく、常に体のことを考えて、お互いに情報をシェアしあっています。予防医学の観点から、脳腸相関は、非常に重要!

刺胞動物のヒドラってご存知ですか?脳がないかわりに、腸に神経細胞が多く存在しています。

「脳が無くても腸があれば生きていかれる!」腸ってすごいですね。

健康でいるために、やっぱり腸は要。

腸内細菌が脳のセロトニン合成をサポート

細菌というと、悪い奴と思いがちだけれど、人間は細菌のおかげで元気に暮らしています。

食物繊維を多く摂ると、腸内細菌は元気になり、セロトニンの前駆物質を合成します。これが脳に運ばれ、脳でセロトニンに合成されることで、うつになりにくい!と考えられています。(これ以外にも、食べ物からとったトリプトファンもセロトニン合成に使われます。)

メキシコ人は食物繊維を1日93.6gも摂るそうです。これにくらべて、日本人の40代50代はたった14g程度(2015年)、少ないですね。メキシコ人の1/6程度です。メキシコやポルトガルは自殺が少ない国で、食物繊維摂取量は高い。一方、イギリスや日本は食物繊維の摂取が少なく、自殺率が高い。

食物繊維だけが自殺率の原因ではないせよ、食物繊維、大事ですね!

ストレスの多い環境では腸内細菌も悪化

NASAの研究によると、宇宙飛行士は極度の不安と緊張にさらされているときは、悪玉菌といわれるバクテロイデス菌が増えるそうです。予防医学の世界では大切な”腸”ですが、意外と環境の影響を受けやすいんですね。

災害が起きた時も、心理的、身体的なストレスから善玉菌を減らし、悪玉菌が増えるという論文のあります。私の親戚が3.11で被災した時、干し芋を送りました。人間だけでなく、腸内細菌も喜んでくれたかもしれません。

逆説的ですが、ストレス下では、腸内細菌がストレスを抑える働きをすることもわかっています。善玉菌が減っている状況でも、一部の菌は戦ってくれているんですね。

セロトニンを増やすため腸内インフラを整えよ

食べ物や食べ方で腸のインフラを整え、いい腸内細菌を増やせば、脳にもいい影響が出る。やはり、食は大切です。

腸の環境をよくするために、こんなことに気をつけましょう。

食物繊維でいい腸内フローラを増やす

水溶性の食物繊維が多い食べ物がおススメ。ごぼう、きのこ、切り干し大根、納豆、海藻など毎日の食事に欠かさず取り入れるといいですよ。私は納豆は毎日1パック食べるようにしています。

よく噛む

腸と随分遠いところの話ですが、よく噛んで消化しやすい形で体に食べ物を入れてあげると、無駄な消化酵素を作る作業が減り、腸が元気になります。腸にいい仕事をしてもらうためにも、一口30回噛む習慣、大切です。

ポリフェノールも摂ろう!

ポリフェノールは、いい腸内フローラを増やしてくれます。日本人が何からポリフェノールをとっているかというと、意外にもコーヒーです。ポリフェノールは食品により分子構造が異なるので、緑茶も飲むことをお勧めします。夏は冷やして冷蔵庫に入れておくと、涼しさに加えて緑茶ポリフェノールも摂れるから、腸にもいいですよ。もちろん、フルーツも。

幸せな気分にさせてくれるのは、スイーツだけでなく食物繊維も!お試しあれ。

武藤順子

AUTHER武藤順子

運動と脳とキレイを科学する女性研究者。武藤順子予防医学研究室室長。薬剤師・体育科学博士。医薬翻訳会社経営の傍ら、経営者のダイエットコーチングもサポートしている。